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美那が選んだ振袖は、クリーム色の地に真っ赤なバラが描かれている。結婚前の顔合わせの場に相応しくない気がする。
どちらかというと、成人式や結婚式なら合いそうだ。
TPOをわきまえないで大丈夫かと思う。
高桑家なら、政治家が来ても驚かない。他には北海道や市町村のような自治体の幹部の訪問も多そうだ。
後継者の妻になれば、相手の評価の対象でもある……そこまで考えて、私は首を振った。美那が、自分で気づくことだからだ。
それに、英彦さんなら、きちんと注意しそうだ。
今も渋い表情で美那を見つめている。正式に婚約をしていないので言いづらいのだろう。
「お姉さまだけでなくて、あたしとも話しましょうよ。下の子供同士で話が合いそうですよね」
腕を絡めそうなくらい密着しながら、上目づかいで見てくる美那に、央司さんが赤くなっている。
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