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「え、お父さま、何て仰ったんですか?」
私の驚きの声に、父は言い聞かせるように、少し会話のスピードを落としてくれた。
「高桑と提携すると役員会で決定した。お互いの強みを活かせば、さらに規模を大きくできる。
それで、二人を呼びだした理由だが……」
社長室には、私以外に妹も呼びだされている。大学から帰ったばかりなので、美那の機嫌は悪い。
「パパ、用事だったら早く終わらせて。約束あるから、早く出かけたいんだけど」
母が甘やかすから、美那は父に対しても遠慮がない。
社長室に呼ぶということは、会社に関係すること。なのに、分かっていない妹に微かに苛立ってしまう。
でも、その思いを見せることはできない。
もし、美那に悟られると、すぐに母に伝わってしまう。
仕事を終えてゆっくりしたい時に、姉であることを理由に叱責されるのは嫌だ。
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