第一章 業務提携

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 「え、お父さま、何て(おっしゃ)ったんですか?」  私の驚きの声に、父は言い聞かせるように、少し会話のスピードを落としてくれた。  「高桑(たかくわ)提携(ていけい)すると役員会で決定した。お互いの強みを()かせば、さらに規模を大きくできる。  それで、二人を呼びだした理由だが……」  社長室には、私以外に妹も呼びだされている。大学から帰ったばかりなので、美那(みな)の機嫌は悪い。  「パパ、用事だったら早く終わらせて。約束あるから、早く出かけたいんだけど」  母が甘やかすから、美那は父に対しても遠慮がない。  社長室に呼ぶということは、会社に関係すること。なのに、分かっていない妹に(かす)かに苛立(いらだ)ってしまう。  でも、その思いを見せることはできない。  もし、美那に(さと)られると、すぐに母に伝わってしまう。  仕事を終えてゆっくりしたい時に、姉であることを理由に叱責(しっせき)されるのは嫌だ。
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