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無表情の私に、美那は意地悪そうに声を掛けてきた。
「お姉さまはどうか知らないけど、あたしは暇じゃないの。
人づきあいができない後継者は問題でしょう?」
唇を噛む。
私は美那ほど積極的でないので、プライベートの交友関係は広くない。でも、この場で言いだしたのは、姉を挑発して面白がっているとしか思えない。
無視が一番だ。
「美那、ここは家でない。話があるから呼んだんだ。大人しく座ってなさい」
父は、妹を母ほどは甘やかしていない。だから、美那は父を嫌っている。
でも、会社に関することに母の助力は期待できないと美那も分かっているから、膨れたまま、ソファに乱暴に座った。
とても、社長令嬢とは思えないふるまいだけれど、それも指摘できない。
姉妹なのに、美那は私の座るソファを避けている。
斜めに美那を見るのは気分が良くないけれど、隣りから嫌味な視線と言葉を向けられるよりはマシだ。
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