第一章 業務提携

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 下の娘が座ったのを見た父は、二人を等分に見てきた。  母とは違って、少なくとも公平に扱ってくれる。妻のひどい贔屓(ひいき)を見ないふりをする人でもあるけれど……  「高桑への株式の譲渡はないと合意した。もちろん、こちらも株の要求は放棄している」  父の言葉はまだ続きそうだったけれど、思わず止めてしまった。  「え、株の交換をしないんですか?それでは、どうして提携という形に」  完全に独立した形なら、取引の増加で足りるはず。お互いに関係を深めると決めたなら、株式の一部の交換は当然と思うから意味が分からなかった。  父は苦い表情で、私の疑問に答えてきた。  「向こうは新株発行分を割り当ててもいいと言ってくれたが、うちの話し合いがまとまらなかった。  まったく、株を持ってるだけの妨害者が」  苦々しく言い捨てる父に驚く。さすがの美那も驚きの表情だ。  「でも、高桑と提携するなら、うちの利益になりますよね」  会社の規模は桁違いだ。
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