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下の娘が座ったのを見た父は、二人を等分に見てきた。
母とは違って、少なくとも公平に扱ってくれる。妻のひどい贔屓を見ないふりをする人でもあるけれど……
「高桑への株式の譲渡はないと合意した。もちろん、こちらも株の要求は放棄している」
父の言葉はまだ続きそうだったけれど、思わず止めてしまった。
「え、株の交換をしないんですか?それでは、どうして提携という形に」
完全に独立した形なら、取引の増加で足りるはず。お互いに関係を深めると決めたなら、株式の一部の交換は当然と思うから意味が分からなかった。
父は苦い表情で、私の疑問に答えてきた。
「向こうは新株発行分を割り当ててもいいと言ってくれたが、うちの話し合いがまとまらなかった。
まったく、株を持ってるだけの妨害者が」
苦々しく言い捨てる父に驚く。さすがの美那も驚きの表情だ。
「でも、高桑と提携するなら、うちの利益になりますよね」
会社の規模は桁違いだ。
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