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嫌な予感で心臓の鼓動が速くなる。
娘二人を呼びだして、業務提携の話をする。
いくら、二人とも経営や経済に関する勉強をしているといっても、私は営業企画部所属で役員会に入れないし、美那は大学生。社長室で報告を受ける立場ではない。
「他人を経営に入れられないなら、正当な方法で加わってもらうことにした。
……その方法だが、お互いの子供の結婚だ」
「え、結婚、ですか。
それなら、どうして二人も呼ぶ必要があるんですか?」
政略結婚を命じられたと分かった。ショックがないとは言えない。でも、会社のための結婚をすると思っていたから、その日が来たのか、という気持ちでもある。
分からないのは、後継者でない妹をなぜ呼んだのか。その事実に不安が湧いてくる。
「高桑さんには息子が二人いる。
長男の英彦さんと次男の央司さんだ。
会社は英彦さんが継ぐと決まっている。当然、佳織と結婚するのは不可能。
それで、央司さんがうちに婿として入ってくれることになった」
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