第一章 業務提携

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 嫌な予感で心臓の鼓動が速くなる。  娘二人を呼びだして、業務提携の話をする。  いくら、二人とも経営や経済に関する勉強をしているといっても、私は営業企画部所属で役員会に入れないし、美那は大学生。社長室で報告を受ける立場ではない。  「他人を経営に入れられないなら、正当な方法で加わってもらうことにした。  ……その方法だが、お互いの子供の結婚だ」  「え、結婚、ですか。  それなら、どうして二人も呼ぶ必要があるんですか?」  政略結婚を命じられたと分かった。ショックがないとは言えない。でも、会社のための結婚をすると思っていたから、その日が来たのか、という気持ちでもある。  分からないのは、後継者でない妹をなぜ呼んだのか。その事実に不安が湧いてくる。  「高桑さんには息子が二人いる。  長男の英彦(ひでひこ)さんと次男の央司(おうじ)さんだ。  会社は英彦さんが()ぐと決まっている。当然、佳織(かおり)と結婚するのは不可能。  それで、央司さんがうちに婿として入ってくれることになった」
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