エピソード2

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エピソード2

事件が発覚したのは、ある母親からの 通報だった。 「息子が…息子が…人を殺したと  言っているんです」 その一報後、母親と人を殺したと見られる 息子の親子が警察署に自首しにきた。 俺はその息子の取り調べ担当することに なった。 この手の事件は取り扱うのは今回が初めてではない。 以前も同じような事があった。 そのときは中学の同級生同士が 期末テストの出来高で揉め、 教室内で暴動が起きた。 点数が低かった生徒が 自分より点数が高かった生徒に向かって 拳で殴りかかってしまったらしい。 そのときは殴られた生徒は体勢を崩して 木製のテーブルの角に後頭部をぶつけて 頭から血を流してしまった。 その光景を目の当たりにした 加害者側の生徒は 人を殺してしまった。と思い込んでしまい 教室を後にしたあと 学校近くの公衆電話で 「人を殺してしまいました」 と声を震わせながら連絡をしてきた。 結局、その後は一旦警察署に来てもらい 事情聴取を行った。そのときに被害者側の生徒の容態を伝え 「死んでいない」と伝えると 少年は目から涙をボロボロと流し 「良かった…ごめんなさい」 声にならない掠れた吐息交じりの感情が 口から発されていたのは 今でも忘れることはない。 今回もこれと似たような案件なんだろうな と考えながら取調室に足を近づかせていた。
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