Solar Eclipse

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 数日後、テオはジャングルの出口に出た。そこにあるのは九層からなる石造りの金字塔(ピラミッド)、その前では褐色の肌をした四人の少年達が黒いボールを蹴って遊んでいた。 「お、人を見つけたぞ。おーい!」 テオは少年達に手を振った。少年達はボール蹴りをやめてテオに近寄ってきた。さて、言葉は通じるだろうか。 「おじさん、誰? この辺りじゃ見ない顔だね。肌も白い」 いける! テオは口角をニヤリと上げた。少年達の言葉はカリブ海西部で使われている「ユカテコ語」これなら日常会話レベルで話すことが出来る。テオは言葉が通じることに安堵するのであった。 テオは少年達に自分の素性とここに来た目的を正直に伝えた。 「君達? そうだね、この辺りの場所の名前を教えてくれるかな?」 「ユカタン! ユカタン!」 テオはこれを聞きこの半島の名前が「ユカタン半島」であると知った。この辺りの地域住民をユカタンと呼称することにした。それから村へと案内され、族長(オサ)との面通しを行った。余所者(ストレンジャー)故に疑いの目を向けられたが、テオは真摯に事情を説明し、村への滞在と文明・文化の調査を許された。族長(オサ)から意識が失いそうになる程のトウモロコシ酒を勧められ、テオが蟒蛇(うわばみ)故に十年来の親友のように酒を酌み交わすことが出来たのが滞在を許された大きな要因である。 テオは歓待を受けることになった。身の回りの世話は始めに会ったユカタン貴族の子の少年達が自分から希望して行ってくれるとのことで、テオは少年達との共同生活によって交流を深めるのであった。
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