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【 夢の高級焼肉店 】
――次の日、俺たちは早速、高級焼肉店に予約を入れて来店した。
さすがは、高級焼肉店だけのことはある。俺たちが前に行った煙モクモクで妻の顔が見えなくなるような狭い、油ギトギトの安いお店とは、やはり格が違う。
高級感漂う落ち着いた色彩の店内。笑顔の店員の対応も心地いい。煙もしっかりと吸い取り、むせることもない。トングもいつも使っているものとは違い、テカりがハンパない。心なしか座っている椅子のクッションも気持ちよく体を包み込んでくれるようだ。
俺たちは迷うことなく、この店で一番高いであろう『黒毛和牛のA5ランク』のお肉を注文した。
出てきたお肉を見ると、よくテレビで芸能人がグルメ番組で食べているお肉、まさにそれだ。
ピンク色に輝くその高級な霜降り肉は、程よくとても良好なサシが入り、食べるのがもったいない程の『肉の芸術品』だ。
絵画でこの質感を表すのは、とても難しいだろう。それほどまでに、素晴らしい高級肉だ。
「うわぁ~、こんなお肉、見たことがない♪」
「そ、そうだな」
今日の妻の笑顔は、昔、付き合っていた頃のようにパッと花が咲いたように見える。とても上機嫌で嬉しそうだ。
トングでその高級霜降り肉を掴み、熱く熱せられた網の上に乗せる。ジュウ~という心地よい音にも高級感があるように感じる。
そして、焼けた霜降り肉から脂がしたたり、その肉の焼けた匂いが鼻の奥まで到達し、俺の食欲を悪戯に刺激する。その瞬間、俺の幸福度はMAXを向かえた。
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