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【 霜降りふりふり 】
「ねぇ、もうそろそろいいんじゃない?」
「そうだな、あまり焼き過ぎて、焦げちゃったら霜降りの意味がないからな。よし、食べよう!」
一番最初に焼けたお肉を妻のお皿に乗せた。それを妻が箸で掴み、秘伝のタレにくぐらせ小さなお口へと運ぶ……。
「うう~ん、とろけちゃう感じ~。美味しい~♪」
妻の愛の頬が、かわいらしく膨らみ、少しピンク色に染まったように見えた。
それを見届けてから、俺もその美味しそうに焼けた高級肉を味わう。
最初は少しだけタレに付けて、お肉本来の味を感じたい。ちょこんとタレに付け、いよいよ口の中にパクリとダイブさせる。
う~ん、ほっぺたの筋肉がこの美味しいお肉に刺激を受けているようだ。舌の上でお肉がまるで跳ねているみたいだ。
それを歯でゆっくりと噛んでみる。実にジューシーで柔らかい。妻が言うように、まるで肉がとろけていくよう……。
「うまい……」
「でしょ♪ このお店に来て良かったね♪ ありがとう、弥太郎さん」
妻が久しぶりに、俺の名前を呼んでくれた。何年ぶりのことだろう。
今、俺は幸せの絶頂にいるのかもしれない。
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