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【 愛のヨダレとAIのミダレ 】
「あなた、どうしたの? 何か、顔色が悪くなってるみたいだけど」
「あっ、い、いや……。何でもない……。ああ~、な、何でもないよ……」
もう、ここの高級焼肉も食べてしまっている。今更、遅い……。
しかも、妻の愛に、何てこのことを説明すればいいんだ。
まさか、妻のヨダレまで写っていたとは……。
とても言えない……。
『ピロン! あなたの受賞は不正により、取り消されました……』
「……」
ああ、そうだろうよ。写真を加工してるだけだからな。しかし、それをなぜAIは選んだんだ。あんなに多くの画像の中から……。
「AIのばかやろう……」
「えっ? 何? 私のばかやろう?」
「あっ、いや、いや。そうじゃない……。エー・アイの方ね……」
「あなた、何さっきから、ぶつぶつ言ってんの?」
やばい。妻の機嫌がいつものように戻って来ている。
これは後でとんでもない修羅場になりそうだ……。
もう、俺の人生は、終わった……。
ここで一句。
『我が人生 愛もAIにも 散りぬるを』
(了)
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