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「せっかく用意してもらったのに、食えなくて悪かったな。今度、またくるよ」
「お待ちしております」
神崎を見送ったことりと熊川は、さっそく得た情報をオーナーに報告しに行った。ことりと熊川の報告を聞いたオーナーは、金勘定をしながらこちらを見た。
「じゃあ、なんだい。その、西本って男が実質シェフってことかい？」
「そういうことらしいです。西本さんは死に体の「Y・S」を人気店に押し上げたのに、奴隷のような酷い扱いを受けているようですね」
ただ、疑問が一つあった。その西本という男は、なぜ冴島の言いなりになっているのだろう。実力があるのなら、自分で店を出せばいいのに。ことりがそう言うと、熊川が頷いた。
「何か弱みを握られていると考えるのが妥当ですね。西本さんに話を聞きましょう」
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