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カップルは不思議そうな顔でことりを見た。いきなり声をかけて不審がられたかと、慌てて取り繕う。
「あ、えーと、雑誌を見て来たんですけど、味を変えたなんてインタビューにはなかったので」
「うん。大きな声では言えないけど、二ヶ月前まではひどかった」
「潰れないの不思議だったもんな」
食事を終えたカップルは、席を立ってレジへ向かった。いきなり味がよくなった?一体どういうことかと思っていると、熊川が戻ってきた。彼は困り顔でため息をついた。
「厨房は見ることができませんでした。あのウェイターがピッタリ張り付いて来まして」
「当たり前ですよ。無理やり入店して写真撮りまくって、完全に不審者ですよ」
ことりは先程のカップルの話を熊川に伝えた。熊川はなるほど、と相槌を打つ。
「そのあたりを探ってみる必要がありそうですね」
「探るって、どうやって」
熊川はウエイターに視線を向けた。レジで清算を済ませた熊川は、ウエイターに笑顔を見せる。
「とても美味しかったです。またきてもいいですか?」
「またのご来店、お待ちしております」
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