第三章

14/38
前へ
/241ページ
次へ
 一年で変わったというのならともかく、たった二ヶ月で評価が激変するというのはおかしい。熊川とことりがそう主張すると、オーナーはまだ時間があるから、調べてみろと言った。ことりはみどりに頼んで、「Y・S」の評判について調べてもらった。みどりはパソコンを叩き、グルメランキングのホームページを表示させた。飲食店のサービスや味を、星で評価する口コミサイトである。みどりは検索窓に「Y・S」と打ち込み、ずらっと並んだ冴島の店の評価をスクロールする。 「たしかに、昔の口コミは酷いわね。まずい、高い、見かけ倒し、腹を壊した」 「でも、二ヶ月前ぐらいから評価が上がってますね」 「ヤラセってことも考えられるけど、客が実際に褒めてたんでしょ」  こういうサイトではやらせレビューが横行するというが、店に行った身からすれば、この評価は自然についたものだろうと思われた。昔低評価をつけていた人も、評価を見直している。「Y・S」のクチコミを読んでいたことりはあることが気になって、ちらっとみどりを見た。 「何よ」 「こういうランキング、うちの店は載ってないのかな、と思って」
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加