107人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
「それでは私は、もう一度、江藤宏に呪いを失敗させればいいのですね」
「江藤君は知りすぎているからね、鏡の中にいてもらった方が安心なんだよ。まあ、呪い殺してもいいんだけれど」
「前回は呪いを避けるための方法と称して、不十分な呪いのかけ方を書いた手紙で失敗させましたので、今回は手順を間違えたのではと伝えて、再度彼が解呪と信じている呪いを行うように仕向けます」
「うん、江藤君なら信じそうだね。もし、江藤君が難しければ翔也君でもいいからね。その場合は、戻ってきたら江藤君は僕が呪うから」
ああ、これでオカルト研究会の残穢もなくなるのか。中学の頃の思い出がなくなる、なんて何の感傷に浸ることもないけれど、あの時に真呪教の教団跡地に行っていなければ呪いを知ることもなく、きっとつまらない人生になったのだろうな。そういう意味ではオカルト研究会に感謝しないとね。
さあ、最後の準備だ。この準備の段階で死んでしまったら元も子もないから、気を引き締めていかないと。坂井君のあの感じを見ている限り、僕もただではすまないだろう。この準備がうまくいってはじめて、ラロと勝負ができる。
紫苑さんが淹れてくれた僕好みの最後のコーヒーを口に運んだ。
最初のコメントを投稿しよう!