12 喰らう

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「ラロ様のオーラが何重にも重なっていて、複雑で全く読み取れなかったのです。まるで何人もの意識がそこに集められているかのようで」 「そうでしたか。そんな不思議なオーラだったのですね。そうだ、ラロが坂井君にを渡した時、オーラの色や雰囲気に変化はありましたか?」 「特に注意していたわけではありませんが、なかったと思います」  やはりそうか。これではっきりした。ラロの能力は完全にではないけれど、大筋理解できた。これなら、準備していた作戦でいけそうだ。 「夜中に質問責めですいませんでした。さあ、もう夜中の二時を回りました。そろそろ寝ましょうか。今日は神受教の祈祷会ですね。また負のエネルギーでこの教会が埋め尽くされますね」 「はい、朝から準備を進めますね。では、如月さんもゆっくりとお休みください」 「そうだね。とりあえず今日の祈祷会が終わったら、ラロ対策の最終準備にはいるよ。その時はまた協力を頼みますね」  了解しましたと言って紫苑さんは事務所から出ていった。 「神受教か」  僕がこの世の神になったら、神受教なんて表向きだけの空っぽの名前は不要になって、真呪教だけでよくなるな。そんなことを思いながら、ソファーに横になり浅い眠りについた。
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