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「ここは、僕が初めて呪いを手に入れた記念の場所なんですよ。ここから、全てが始まったんです。だから、この場所で僕は呪いの覇者になり、神への一歩を歩み始める」
「なるほど、呪いの覇者か。相変わらず面白いな、兄ちゃん」
壁に貼られた鏡の一つに、醜悪な笑みを浮かべる悪魔の姿が映っているのを視界に捉えるのと同時に、ひぃと言う紫苑さんの短い悲鳴が聞こえた。
「大丈夫だよ、紫苑さん。あの悪魔は僕らの知り合いなんだ」
「なんだ、お前も見物しにきたのか」
「ああ、面白いものが見れそうだって聞いたもんでな。ところで、そっちの姉ちゃん」
そう言って、悪魔は紫苑に視線を向けた。
「姉ちゃんは初めましてだな。ん、何か見たことある顔だな」
「どことなく、クラウさんに似ているからでしょう」
「ああ、あの嬢ちゃんか。確かに似ているっちゃ、似ているな。それよりも姉ちゃん、お前「イミル、もう来てたんだ」
別の鏡に見たこともない悪魔が現れた。それにイミルって。
「何だよ、お前か」
「だから、お前じゃなくって私はファゴだって何回言えば覚えるのよ、イミル」
「俺はそんな呼び方、興味ないって言ってるだろうが」
あの横顔の悪魔はファゴ、そして僕が契約した悪魔はイミル、それがあいつらの名前なのか? ラロの方に視線を向けると、それに気がついたラロが両方の肩をすくめて”知らない”と告げてきた。
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