12 喰らう

10/14
107人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
「昔から言われるこんな言葉を知っていますか? 神は、天使と悪魔を一対として作った。天使は、救済を与える術を一つ作り出せる。悪魔は、制裁を与える術を一つ作り出せる。天使は人々のために、その力を使った。悪魔は自分の楽しみのために、その力を使った。海外の言い伝えです。つまり、悪魔や天使でも呪いや施しは一つしか持てないんですよ。それを複数持てているラロさん、さすがですよ。でも、この前、坂井君の呪いを喰らった後に鼻血出しましたよね。そろそろ、さすがのラロさんも呪いを喰らう許容量を超えかけてるんじゃないですか?」 「仮にその話が正解だとしても、私に限界などないよ」 「そうですか? 僕はこの仮説を立証するためにわざと呪いを失敗して、鏡の中の罰の部屋に行ってきました。そして、確信を得ました」  僕の右目から涙が溢れ出る。いや違う、これは血だろう。 「僕は、あのイミルと呼ばれた悪魔の罰の部屋で、他の悪魔たちと契約を取り交わした。今、僕の中にも別の悪魔の呪いがある。僕の身体も精神もかなり負担がきているのが、自分だからよく分かる。この鼻血や目からの出血がその証拠です」
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!