オリオンに啼く

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良かった。まだ開いてる…。 駅前に見えるドーナツショップの明かりが見えて私はホッとした。 勿論、ドーナツの種類なんて贅沢な事は言ってられないと思うけど、とにかく、今晩はドーナツを食べる事が出来そうだ。 私はドーナツショップの前に車を横付けにして、助手席のバッグを取りドーナツショップへと入った。 もう客もショーケースの中のドーナツも疎らだったが、とりあえずトングとトレイを取り、これでもかと言わんばかりにドーナツを買った。 一箱に収まらないが良いかと声の小さな店員に言われたが、そんなモノは良いに決まっている。 一箱に収めるためにドーナツを買う人の方がおかしい。 食べたいから買うんだから、何箱になろうが良いんじゃないかと思う。 とりあえず、それを部屋に帰って全部、一人で食べる事がバレなければそんなに恥ずかしい事でも無い。 電子マネーで支払いを済ませると、私は店を出た。 店の前に停めた車も心配だったし、それ以上に早くドーナツを食べたい。 店員のマニュアル通りの「ありがとうございました」の声を背中越しに聞き、店の外に出た。 その瞬間に何かが私にぶつかり、袋に入ったドーナツの箱は見事にアスファルトの上を滑って行く。
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