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ヤクザか…。
私はスカートに着いた汚れを手で払い、路肩に停めた車に乗り込んだ。
バッグとドーナツを助手席に置いて、エンジンを掛けた。
車窓から二人のヤクザが走って行くのが見える。
「あんな奴ら、この世から居なくなれば良いのに…」
私はそう呟いて、車を走らせた。
そんな事より早く帰ってドーナツを食べたい。
多分、私は何時もより深くアクセルを踏んでいたと思う。
国道に出る手前の信号で止まり、ウインカーを出しながら右折レーンで停車した。
直ぐに信号は変わり、前を走るバスの後ろをついて行く様に国道へと出る。
ドリンクホルダーに置いている電子タバコを手探りで取り、ボタンを押した。十秒程で電子タバコのデバイスは振動して吸える様になる。
私はサンルーフを少し開けて、タバコを吸う準備をした。
デバイスが振動し、私はタバコを咥えた。
「タバコは百害あって一利無しだぜ」
そんな言葉と同時に私のこめかみに硬いモノが押しあてられた。
「そのまま走らせろ」
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