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第三章
「龍太くん、今日は3時半に仕事をあがりたまえ」
上司の秋葉さんの指示があった。
やっぱり。
雪の降り方が尋常でないのだ。
今朝は、美浜区までの仕事場まで普段は自転車で30分くらい健康づくりを兼ねて出勤しているが、どうせ雪の降る明朝は路面凍結だぞ。
こんな言い方したら、雪国の方々に怒られてしまうし笑われてしまうが、とにかく関東地方、特に南部は雪がめったに降らない。
子供なんて雪が降ったら大喜びで、たとえ降ったとしてもそんなに積もることがなく、ホワイトクリスマスで聖夜をあかしたいなんて考えているのは、関東地方の人たちだけだと、青森県出身の先輩に笑われたことがあった。
東北地方なんてクリスマスにホワイトクリスマスなんて当たり前で、吹雪になると歩いていて呼吸ができなくなるらしい。
本当に関東人は雪に弱い。
実をいうと知っている人は結構いないのだが、千葉県南部の房総半島の先のほう、あの江戸時代外様大名であった、里見八犬伝で有名な里見氏のいた館山南部とか野島崎灯台の辺りは、何と地理学的にいうと「温帯」ではなく「亜熱帯」で、関東地方に沖縄地方と同じ気候区なのだ。
そんな関東に南岸低気圧。
何か起きそうな予感がした。
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