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第五章
「いつもいつも、悪いね」
「いやいや、じいちゃんに元気になってもらわないことには、心配で困るよ」
「あんただけだよ。そんなことを言って、見舞ってくれるのは・・・」
「じいちゃん」
とは、自分の住んでいるさつき台団地、同じ階段に住む3階の平岡さん。この間、買い物をしようと近くのロンドマというパン屋に行こうとしたのだ。
玄関を出て、この85歳のじいちゃん、気丈で元気なのはいいが足腰がだんだん弱ってきているのだ。
70歳を過ぎてからの老いは早い。
80歳を超えると、半年、1カ月でもどんどん年を取っていく。おじいちゃんは、手すりをつかみながら、ゆっくりと階段を降りて行った。
一歩一歩慎重に。
こういう時に、自治会のつけてくれた手すりがとても役に立つ。本当に手すりがあるのとないのでは大違いなのだ。
ゆっくり、ゆっくり降りて行ったのはいいが・・・
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