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敦彦は自由になった自分の時間を楽しみ、二時間程経った深夜零時にベッドルームへ来た。疲れていたのか、入ってくるなり早々高いびきで眠ってしまった。
何時もは彼より早く起きて身支度の手伝いをする私が、布団を頭から被って出なかった。彼の出勤時間になっても見送りしようという気になれなかった。
敦彦は私が体調不良だと思っているのか、声もかけずに行ってしまった。
優しく声を掛けられても腹が立つけれど、声を掛けられないのも腹が立つ。
悔しくて、思わずネイルしたばかりの綺麗で鋭い爪を噛みそうになった。
この爪で敦彦の喉笛を引っ掻き、傷つけてやりたいとさえ思う。
本当に、どうして私がこんな不幸な目に遭わなきゃいけないの?
有責側はそりゃいいでしょう。好きな事をやって生きて行けるのだから。でも、私はどうなるの?
不倫や浮気なんて、絵空事だと思っていたのに。
居ても立っても居られなくなって、私は美奈に連絡を取った。今日会えないか、と。
彼女は携帯依存症だから、メッセージを送ってすぐに返信が入る。人の噂・お喋りが大好きだ。
いいよ、とすぐに返事が来た。早い。
よし、離婚の時はどうだったのかとか、色々と相談しよう。
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