Diary1:始動

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 敦彦は自由になった自分の時間を楽しみ、二時間程経った深夜零時にベッドルームへ来た。疲れていたのか、入ってくるなり早々高いびきで眠ってしまった。  何時もは彼より早く起きて身支度の手伝いをする私が、布団を頭から被って出なかった。彼の出勤時間になっても見送りしようという気になれなかった。  敦彦は私が体調不良だと思っているのか、声もかけずに行ってしまった。  優しく声を掛けられても腹が立つけれど、声を掛けられないのも腹が立つ。  悔しくて、思わずネイルしたばかりの綺麗で鋭い爪を噛みそうになった。  この爪で敦彦の喉笛を引っ掻き、傷つけてやりたいとさえ思う。  本当に、どうして私がこんな不幸な目に遭わなきゃいけないの?  有責側はそりゃいいでしょう。好きな事をやって生きて行けるのだから。でも、私はどうなるの?  不倫や浮気なんて、絵空事だと思っていたのに。  居ても立っても居られなくなって、私は美奈に連絡を取った。今日会えないか、と。  彼女は携帯依存症だから、メッセージを送ってすぐに返信が入る。人の噂・お喋りが大好きだ。  いいよ、とすぐに返事が来た。早い。  よし、離婚の時はどうだったのかとか、色々と相談しよう。
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