Diary1:始動

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 回転率を優先させ、あまり長居されては困るような作りは、店の床面積に対してテーブルと椅子の数が多かった。乱暴な言い方をすれば、混雑した町の小さな定食屋みたいな雰囲気に近い。しかしそもそも狭い店内。席数はそんなにないものだから、お昼時は何時も混んでいる。  運よく空いた端の席に滑り込み、美奈にメッセージを送った。『ホーリーカフェ』で待っています、と。  お腹が空いたし、折角の焼き立てサンドウィッチが冷めてしまうと思って、美奈は来ていなかったけれど先に食べた。焼きたてのトーストに挟まれた新鮮な野菜や玉子、本当に美味しかった。今度自分でも作ってみようかな。パン好きだけれど、食べる専門で一度も作ったことが無いから無理かなぁ。  サンドウィッチを半分くらい食べ進めたが、まだ美奈は来なかった。  もう、本当にルーズ! どうしようかな、と思った所でようやく美奈がやって来た。 「おそーい!」美奈の姿を見つけるなり、口から文句が出た。 「あれ。アンタがこんなに早いとは思わなかったよ」  謝りもせず、酷い言い草だ。 「私、美奈との待ち合わせ時間にちゃんと来たよ。もしかして時間間違えた?」  
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