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「いけないと言ってしまうと語弊がありますが・・・・あまり好ましくありませんね。奥野さんに来ていただくのは構わないのです。しかし、お二人が親密であると相手に思われてしまっては元も子もありません。今日お二人で来られる事は、誰にも話していませんよね?」
「勿論です。誰にも言ったりしていません」
「本日こちらへ来るご相談は何時、どのような形でされましたか?」
「えーっと・・・・佐伯さんから連絡を貰ってすぐ、映見さんに電話をしました。その時、佐伯さんの追跡に映見さんが付いて行ったと聞いたので、一緒に話を伺った方がいいと思った俺の判断です」
それを聞いた佐伯さんの目が更に鋭くなり、私の方を見た。
あ・・・・勝手に雄介に言った事、良くなかったみたい。しまった事をした。
「軽率だったなら申し訳ありません」
私にも言える事だった。これから気を付けよう。
「・・・・いえ、僕が異常に警戒しすぎなのだと思います。しかし、八馬さんに貰ったというGPSが取り外されていた事を考慮すると、奥野さんのご自宅に盗聴器が仕掛けられている可能性もあるかと思いまして。ですから念のため、こちらへ来ていただいた時の盗聴電波チェックはしております。ただ、遠くの移動先で盗聴できる範囲や仕掛けられるものが限られているので、この可能性は低いと見ていますが」
「今後、奥野さんには電話しないように気を付けます」
「そうですね。お電話は出来るだけ避けた方がいいかもしれません。緊急の時以外は、共有メッセージアプリをお使い下さい。後、履歴は残さないように」
「解りました」
「少しの辛抱です。不便なのも束の間ですよ。問題が片付けば、こんな風に警戒する事もありません。今は相手側に足元を掬われないように、注意しましょう」
「はい!」
雄介は佐伯さんをとても信頼しているようで、素直に頷いていた。
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