4505人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい。特に変わった所はありません。最近は別室で眠っているようです。寝室には来ません。私は彼が自宅にいる間、寝室に籠っています。食事も別になっています」
「成程。家庭内別居が続いている状態という事ですね。承知しました」
佐伯さんは今聞いた話をメモに書き込んでいる。これをまた資料にするのだろう。
「昨日、急浮上した小料理屋の女将ですが、彼女については現在調査しておりますので、ご主人との関係性の結果報告はお待ちください」
「あ、はい」
「お話を聞く限り、ご主人の方は奥野さんとの婚姻生活を継続するという意思はなさそうですね。でしたらこちらも、然るべき対処法で臨みましょう」
「はい」
「それから、八馬さんや相葉さんは、相変わらず謎ですね。お二人の見解を聞きたいのですが、いかがでしょうか?」
私たちが答えられるはずもなく、黙って首を振るしかできなかった。
「『R』がるりさんである可能性が大きく出ましたが、他の彼女たちにどう繋がっているのか、何も関りが無いか等、まだ不明な点が多いです。現時点では手掛かりが少なくて解らないのは仕方ありません。昨日の今日で状況が変わる訳ではありませんが、何か思う事があったり、進展があれば都度お知らせ下さい」
解りました、と揃って答えた。
「昨日から特に進展が無いので、まとめた資料以上の事はご報告できずに申し訳ないのですが、今後山西さんはるりさんの様子をしっかりと見て頂き、奥野さんはご主人との離婚に向けて動いて行きましょう。それから、奥野さんや山西さんのスマートフォンに変なアプリが入っていないか、確かめておきましょう」
最初のコメントを投稿しよう!