Diary7:真偽

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 その時、給湯器から『お風呂が沸きました』と軽快なリズムの曲と機械の音声が流れたので、敦彦はテレビを消してさっさとバスルームへ行ってしまった。どうやら自分で風呂を沸かし、湯が溜まるのをテレビを見ながら待っていたようだ。早々にそれを切り上げたという事は、見るのを打ち切っても問題の無い内容だったのだろう。それとも、余程風呂に早く入りたい理由でもあるのか。  はあぁ・・・・それにしても、寿命が縮まるわぁ・・・・。  ほっとするのも束の間、敦彦がお風呂へ行っている今しか家宅捜索のチャンスは無いと思い、周波数を合わせて貰った盗聴器発見機を取り出した。玄関から早速捜索を開始する。敦彦が帰って来ているのは大誤算だったが、少しでも早く仕掛けが無いかを知って安心したい。  棚や靴箱に機械を向けたが、反応は無し。風呂場の前、お手洗い、リビング、和室、そして一番の問題個所の寝室。ここはゆっくり調査できるから入念に調べてみた。  タンス、クローゼット、ベット下、机の引き出し、日記帳の入っている鍵の付いている引き出しも全て、奥の方にあるコンセント部分や怪しい部分も調べた。  結果、機械は全く反応しなかった。  盗聴器は仕掛けられていない! 良かったわ!  早速、結果報告のメッセージを佐伯さんと雄介に共有で送る。自宅に帰って早速試してみたけれど、盗聴器発見機は作動しませんでした、と。  敦彦が帰っているので詳しい話はできないから、また明日以降にでも、とメッセージを送り、トークルームを退出して履歴を削除した。  盗聴器が無いなら安心だ。できるだけ美奈の様子も探りたいので、電話をかけてみた。敦彦はまだお風呂から上がっていない。手短にしなければ。
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