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「ありがとう。早速実践するわ」
『健闘を祈る!』
美奈を疑うよりも、今は早く行動に移した方がいい。すぐに電話を切って、冷蔵庫へ向かった。さっき公園で買ったペットボトルの余りを冷蔵庫へ放り込み、代わりに一缶のビールを掴んだ。再び寝室へ引っ込み、ビールを半分くらい煽った。これで大丈夫かな。
続いて部屋着に着替えて化粧を落とした。どうせ敦彦に女として見られていないし、出来る限り綺麗にしておいても無駄だろうから。
ふう、とため息を吐いた所で、バスルームの扉が開く音がした。立て付けが悪いからか、いちいち煩い。敦彦が風呂から出たのだ。
暫く待っているとリビングから生活音が聞こえてきたので、早々と風呂場へ向かった。
アルコールを摂取したので湯舟には浸からずにお湯は抜いてしまって、シャワーだけで丁寧に体を洗って早めに出た。肌寒いが仕方ない。我慢しよう。
普段通りを心がけ、早々に寝室へ移動した。室内を見回してみる。変わった様子は無い。
敦彦が私の様子を疑っているなら、きっと寝室へ入ってくるだろうと思っていたが、どうやら取り越し苦労だったようだ。
疲れたのでベッドへ身体を投げ出した。
部屋の温度で冷えたままの掛け布団が私を包む。寒い。そういえば、一体いつから敦彦と触れ合っていないのだろう――いや、彼と触れ合いたい訳ではない。あんな裏切り者とは、もうやり直せないのが本音。
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