Diary7:真偽

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   それよりも私は、ひと肌が恋しいのだ。傍に居てくれる温もりが欲しい。  ささやかな願いだった。愛する人と一生仲良く暮らしていく事――もはや叶わぬ夢であり、それはとても難しい願いだったと気が付いた。  そうだ。忘れないうちに今日の出来事を日記に書いておこう。机の引き出しの鍵を開け、日付や天気を記載した後、『普段通りだった』と、昨日のるりの様子を聞いた――と書き始める。  日記を書き終え、机の引き出しにしまった。部屋の照明を落とすと、先程の公園内と同じように月明かりに照らされている外が見える。半開きのカーテンからそれを見つめ、様子を伺った。  上空の風は早く、薄い雲を流していく。時折月にかかるが大した厚さではないので、そのまま月は輝き地上を照らしている。  雄介は大丈夫だろうか――脳内で再生されていた一連の出来事を思い出し、カーテンを閉めた。部屋は灯りが遮断され、薄暗くなった。  彼には暫く連絡を取らない方がいいだろう。佐伯さんの言う通り、用心しなければ。  私達の行く先は、先程の雲の様に風に吹かれて遠くへ流され淘汰されていくのか、それとも優しい光に照らされて美しく輝くものになるのか、どちらなのだろう。  ※  あれから何事もなく、週末金曜日となった。相変わらず敦彦の帰りは遅かったが、変に疑われたくないから何処にも出かけずに大人しく家のリビングでテレビを見ていると、スマートフォンが鳴り出した。一体誰だろうと思ってみると、雄介だった。  胸がざわついた。  緊急の時以外は電話はしない――そう決めた筈の雄介が私に電話をかけて来るなんて、よっぽどの事なのだろう。
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