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「もしもし、雄介!?」
彼の声を聞く前から焦った。どうしたのだろう。心拍数が跳ね上がる。
『映見・・・・もう・・・・無理だよ・・・・俺、もうダメだ・・・・・・・・』
「どうしたのっ、何かあった!? ねえっ、雄介!!」
『見たんだ・・・・』
「見た!? 何をっ!」
『るりと敦彦が・・・・ホ、ホテルへ入る所を・・・・』
一瞬で血の気が引いた。敦彦は今日もまた、るりと逢引をしていたという事?
時刻は午後九時四十五分。こんな時間なのに・・・・一体どうして・・・・るりは家に居ないの!?
敦彦の手帳にあった『R』との待ち合わせ20:00~は、るりとの約束?
ああもうっ、ワケが解らない!!
「雄介今どこっ」
彼は応えなかった。かすかに車の音や喧騒が聞こえるので、外に居る事は間違いない。
「すぐ行くから、そこで待ってて!」
上着を引っ掴んで財布とスマートフォンをハンドバックに押し込み、大急ぎで家を出た。
自転車に鍵を差し込みながら考えた。雄介ならどこへ行く?
彼がひとりになりたい時、何時も訪れる場所は――
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