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「そんな事気にしないで。よく電話くれたね。ありがとう」
「・・・・この状況、映見しか・・・・解ってくれる相手がいないからさ・・・・」
「いいよ。頼ってくれて嬉しい」
「うん・・・・ごめん・・・・」
こんな所まで来てくれてありがとう、と涙声で雄介が言うから、もう謝らないでと牽制した。
「さっき電話で言っていたけれど、今日、例の大田区のホテルで二人は会っていたの?」
雄介は頷いた。「・・・・確か、七時半くらいだったと思う。るりの鞄に仕掛けておいたGPSが動き出してさ・・・・幸いトラブルもなく退勤できたから、急いで追いかけた。この目で確かめようと思って・・・・佐伯さんと映見が追跡した時も、大田区へ行ったと聞いていたから、GPSの様子を見ながら先回りしたんだ。そしたら・・・・二人が来て・・・・ホ、ホテルの中に・・・・・・・・っ」
せり上がってきた嗚咽を堪えるように、雄介が唇を噛み締めた。
「この目で見るまでは、本当に・・・・信じられなくて。今までずっと、これは何かの間違いだって言い聞かせて、Rがるりじゃない可能性もあるし、心の何処かで僅かな1パーセントを期待していたんだ。でも、二人がホテルへ入っていく姿を見て、俺が一番大切だって言ってくれた彼女はもういない、やっぱり俺は山西家にとって不要な存在だったんだと思ったら・・・・凄く、苦しくて。もう、何処をどう帰って来たのか、自分でもよく解らなくてさ。訳の解らないうちに映見に連絡取っていたんだ。・・・・佐伯さんに言われていたのに、軽率な事をしてしまって・・・・」
迷惑かけて本当にごめん、と雄介が涙ながらに謝ってきた。
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