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「もうっ。謝るのはナシって言ったでしょ。辛いのだから当たり前! 急にショックな事があったら、誰だってパニックになるよ。冷静でいられる方がおかしいわ。私だって雄介の立場だったら、きっと貴方に泣いて縋(すが)っていたと思う。酷い目に遭わされた同士にしか、解らない事があるもの。だから、迷惑なんて思わないで」
思いつく限りの言葉で、絶望の淵に立っている彼を慰めた。
雄介は静かに涙を流しながら、私の言葉に耳を傾け、頷いてくれた。
どれくらいそうしていただろうか。雄介の様子は随分落ち着いたように見える。
憔悴した彼にとっては酷な事だろうけれど、あの二人に負けっぱなしではこの闘いは終われない。
「ね、雄介。よく聞いて。るりの事は、本当に辛いと思う。でも、雄介が今座っている夫の座は、敦彦にのし付けてくれてやるんでしょう? もう落ち込まないで。今こそ闘いましょう。山西家の為じゃなくて、自分の為に生きる時が来たの。今がその時! 真偽は十分に確かめられたはずよ!」
彼の手を取り、説得を試みた。
「思い切って弁護士に相談しましょう! そして、勝利を勝ち取るの!!」
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