Diary1:始動

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 るりに触れたそのおぞましい手で今夜私に触るつもりだったら、今、目の前にあるフォークで汚らわしい手を串刺しにしてやろうかな! 「どうした、怖い顔して」 「別にー」 「まだ怒ってんの? 今日の事」  今日の事――恐らく、結婚記念日を完全に忘れていて、うっかり仕事(夜の接待)を入れていた事だ。  それ、今日の朝発覚した。納得がいかなくて怒っていたら、接待は早く切り上げて早めに帰るからお祝いしよう、と連絡があったのだ。ダメだと思っていたから落胆していた分・・・・すごく嬉しかったのに。  でも、それって噓だったのね。早めに帰るとか言っておきながら、るりと逢引していたんだ。  接待って言うのは噓。それはるりの事で、会うのを前倒しにしたのか時間を短くしたのか、何せよ毎日午前様だった彼が午後十時前に帰れたのは奇跡だと思ったのに。  結婚記念日を楽しみにしていたのは私だけ。最悪最低。 「ごめんって。ちゃんと帰ってきたじゃん。な? 機嫌直してさー。お詫びにケーキも買ってきたし」 「・・・・要らない」  思わず冷たい返答になってしまった。  虫唾が走る。るりと逢っていたクセに!!
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