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私は敦彦と五年前、愛を誓い合ったの。美貌、お金、素敵な旦那様もいるし、るりは何でも持っているじゃない! 何が不満なの!? どうして私の敦彦を盗るの?
もし今、ここにるりが居て、傍にナイフがあったなら。
私は迷わず無言で彼女をメッタ刺しにしているだろう。その位、怒りと嫉妬と悔しさと悲しさと、それはもう沢山の感情が渦巻いていた。
奇声を上げるのを堪え、枕を怒りに任せて殴りつけた。
るりが憎い! 敦彦が憎い!
ほんの一時間前まで何も知らずに、夫の帰りを今か今かと待ち望んでいた私の気持ちを返してよ!
こんなに辛いのに、涙は沸いてこない。代わりに変な乾いた笑いが口元に浮かんでくる。
あまりのショックでおかしくなっちゃったみたい。
壊れた人形のように、私は何時までも笑っていた。
しかし今日の出来事はまだ始まったばかりだという事に、私は気が付いていなかった。
これから、もっと悲惨な地獄が始まるとも知らずに――
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