掘っ立て小屋

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掘っ立て小屋

「登録完了致しました。本日からお仕事をやられますか?」 「はい、お願いします」 「護衛の冒険者を今から募るので、少々お待ちください」  受付の女性は掲示板に貼紙を載せ、飾り付けだと思っていた入り口近くの宝箱から、マジックバッグを取り出して私に渡してきた。 「護衛に参加される冒険者が、三名此方に来たら早速ダンジョンへ荷運びをお願いします。店員の仕事に関しては、現地に居るギルド職員からお聞きください」  張り出されてから数分も経たずに、貼紙を持った冒険者達が現れた。さっきから屯していた人達だった。暇していたのだろうか。 「昨日遅くに戻ったせいで、マシな依頼が無くて困っていたから丁度良かったぜ」  冒険者の若い男性が、受付の女性に貼紙を渡す。 「貴方達のパーティーなら、中層の依頼を受けた方が稼げますが?」 「勘弁してくれ。たまには楽な仕事もしたくなるもんさ」 「目ぼしい他の方がおられないようなので、この依頼は受理されました。彼女を安全に低階層の安全地帯へと案内してあげてください」 「よろしくな、姉ちゃん」  私よりも若そうな彼にそう声をかけられて、命懸けの仕事が地球での成人前でも出来てしまう、この異世界に驚愕してしまった。  ~ダンジョン内~ 「最近補充が滞っていたから、俺達からしたら助かるぜ。流石にマジックバッグを持てる程、稼げていないからな」 「この鞄って、そんなに高いんですか?」 「容量にもよるけれどよ、一番安くても金貨百枚だぜ。武器と防具が潤沢に有っても、手にいれるには深層に行ける位じゃないと無理だな」  どうやら中層程度では、金貨を沢山手にするには早い様だ。ポーターの仕事が有るのが良い証明か。  このパーティーにはポーターが居ないが、背負い袋に収まるくらいの荷物で事足りているみたい。中層でも浅い所を縄張りにしているのかも。  途中で現れた魔物を、私を除く皆さんが余裕で倒しながら歩くこと数時間。目的地に着いた。 「あの、この掘っ立て小屋に見えるのがお店なんでしょうか?」 「ああ、周りは安全地帯だから魔物が寄ってこないしな。一応簡易結界が張られていて、許可無く中の物は持ち出せない様にはなっているみたいだぜ」  地面に突き立てた柱四つに申し訳程度の布が天幕として垂れ下がり、船等の荷運びに適した四角い箱が二つ横並びに置かれただけで、椅子すらない店にはギルド職員らしき人物が残り僅かの商品を商っていた。 「もしかして、補充が来たんですか?」  店に近付いたギルド専用の鞄を持つ私に気付いて振り向いた人物は、目の下にクマが出来た過労死寸前に見えるオジサンでした。
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