最終章 この恋が罪だと知ってても

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「美鈴、最後まで話聞いてくれる?」  いつもと違って優しく問いかけてくれた翼の声に対し余計に涙が溢れてきた。先に泣くなんてフライングだとは分かっている。泣くのは話を全て聞いてからなのに。  なんて返せばいいのか分からなくてこくこくと頷く美鈴に彼は優しい声で言った。 「もう二度と離したりしないから美鈴のこれから先の人生を俺にくれますか?」  その問いかけに対する言葉は決まってた。  彼からのプロポーズをずっと夢見ていたのにこういう時に限って唇は不器用ですぐには動いてくれなかった。 「これからよろしくお願いします」  本当はもっと言いたいことはあったはずなのにそう返すのが精一杯だった。  せっかくの誕生日なのにメイクはぐちゃぐちゃだし服だって動きやすさを重視した普段着で全然ムードがない。もう少し察していればきっともっとオシャレな格好をして今日を迎えたのに。 「良かった、振られるかと思ってた」  子供みたいに泣きじゃくったのはいつぶりだろうと思う。安心して泣いているのか嬉しくて泣いているのかその両方なのか自分でももうよく分からなかった。 「独身でいられなくなるのが嫌だからってそんなに泣くなって」  いつもと同じ声のトーンで冗談半分で笑いながらそう言った翼に優しく抱きしめられる。普段、隣に座ることはあっても手すらも繋いでこなかったこともあり緊張から心臓がバクバクと鳴る。でも、それ以上に安心さが勝った。 「私のこれから先の人生をあげる代わりに翼のこれから先の人生を私にくれる?」  ドキドキしたままさっき言えなかった言葉を彼の腕の中で涙声で言った。 「もし、俺が嫌だって言ったらどうする?」  その言葉を聞いた瞬間、目が覚めた。こっちは、恥ずかしい気持ちを抑えてそう言ったのにこの人はその気持ちで遊ぶつもりなのだろうか。  美鈴は、抱きしめてられていた翼の腕から少し離れて彼の目を見た。 「無理矢理奪いに行く」 「美鈴には敵わないな」  そう言って彼が美鈴の左手をとりその薬指に婚約指輪をはめてくれた。 キラキラと輝くそれを見ながら今日は「最高の誕生日だな」と思う。 私はきっと、今日のことをずっと忘れない。  罪だと知っていた私のこの恋は私の永遠の愛になる。 この恋が罪だと知ってても 完
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