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「何?」
「不倫だけは絶対やったらダメ」
「そんなの分かってるよ。大体、子供いる人が不倫なんてする暇なんてないじゃん」
そう言ってオレンジジュースを1口飲む。30歳にもなって未だコーヒーや紅茶よりオレンジジュースやコーラが好きなんて子供っぽいとは思うけどやっぱり好きなものはやめられない。
「でも、小学生でしょ?その子と美鈴の休み次第では平日の昼間に会うことも可能じゃない」
「んー」
美鈴は生返事をするとまたポテトを口に運んだ。
「それに不倫されて悲しむのは子供だけじゃない。奥さんから旦那さんを奪うことになるのよ」
その言葉を言われて急に翼や湊君のやりとりを思い出す。そういえば、翼の奥さんは湊君曰くおばちゃんの美鈴と違って綺麗な人なんだっけ。
「翼の奥さん、浮気とかしてんのかなー」
「え?」
「浮気だよ、浮気。話聞いただけだから顔は知らないけど、綺麗な人なんだって」
真希は「んー」と少し考える素振りを見せた。
「私にはその翼君夫婦のことは分からないけどさ世の中昼ドラに出てくるような人ばかりじゃないと思うよ?」
「でもさ、うちのお父さんは昼ドラみたいなことしてたよ?今どうしてるのか知らないけど、お母さんよりも綺麗な女の人と手繋いだ写真が家にあった」
コップの中でストローをくるくると回していた真希の手が止まった。
「え?それどういうこと?」
「お母さんが多分探偵に頼んでたんだと思う。小学生の頃偶然探偵事務所から届いた写真見ちゃったんだ」
「浮気調査って本当にする人いるんだ」
「うん、うちの親とかね」
そう言って美鈴はまたポテトを頬張った。
「じゃあ、美鈴も同じように調査されるかもよ?奥さんに」
「んーそうだね」
そう言ってファミレスの窓を見ると、丁度下校中の小学生が楽しそうに騒いでいるのが見えた。あの中に湊君がいたら奥さんのことを聞けるのにな、とぼんやりと思っているとサッカーボールを持って2人で歩いている男の子に目が留まる。サッカーボールを持っている小学生と話しているのは、間違いなく湊君だ。これから友達とサッカーでもするのだろうか。
「ねぇ、真希」
「ん?何?」
「この辺りに広い公園ってない?」
「広い公園?そんなところで大の大人が何するの?」
「求人情報誌を読むの。ほら、私狭いところ苦手だから外の方がやる気出るのよね」
「そうだったっけ?」
真希はそう言って窓の方を見た。窓の外には、まだまだこの近くの小学校小学生が歩いていた。
それを見て真希は「なるほどね」と呟いた。長年の付き合いである彼女には美鈴の考えていることはバレバレだったようだ。
「小学生が多い公園だけど、1カ所だけ知ってる。でも、変なことだけはしないようにね」
真希はそう言うと、スマホを取り出し美鈴のTALKにここから歩いて数十分のところにある公園のスクショを送ってくれた。
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