始まり

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 という神託が下りた。そこで王子ヴィクタリアスは、手分けしてキーリングル中の神殿を襲わせて、片っ端からハーミアの神像を奪い取ってきたのだが、キーリングルの強固な都ハバラは一向に陥落する気配がない。その時、王子の信頼厚いケレアの若者ゴディウィンが、とある町で噂を聞きつけた。  「キーリングル王の末の娘は女神ハーミアの化身と謳われるほどに、美しい王女だそうだ」  それを聞いた瞬間、ゴディウィンの脳裏にある考えが閃いた。神託の告げる女神ハーミアとは、神像ではなく生きた人間の女のことではなかろうかと。そこで、彼は早速王女がいるというハーメットへと赴き、五日の間、神殿の目の前をうろつきながら彼女が現れるのをひたすら待った。ようやく王女とおぼしき若い娘が二人の付き添い女と森へと向かう姿を目にし、ゴディウィンは気取られぬように細心の注意を払いながら、足早に歩き出した。  見知らぬ異国の若者がよもや背後に控えていようとは夢にも思わぬアリアーネは、いつものように泉へと続く道を辿っていく。水瓶と着替えを畳んだ布を抱えた付き添い女たちは、王女を挟むようにそれぞれ前後を歩いていた。間もなく澄んだ水がこんこんと涌き出る岩の前までやって来ると、アリアーネは付き添い女たちに下がるようにと命じた。彼女らは慣れた様子で壺と包みを地面に置き、そうして鬱蒼と生い茂る木々の向こうへと姿を消した。  
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