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カルガースは彼の天幕へと連れていかれ、医者の治療を受けた。幸い、傷は深刻なものではなかった。アリアーネの心はゴディウィンへと向けられていながらも、カルガースに付き添い、積極的に手当てを手伝った。
そちらが一段落つくと、アリアーネはようやくゴディウィンを探しに外へ出た。昼間決闘が行われた広場はしんとして、人の気配がない。一連の騒ぎがまるで嘘のようだ。アリアーネは人の目を盗むようにして、建設途中の街のなかをさ迷った。
なかなかゴディウィンを見つけ出せないでいた。やっとそれらしき人物を見つけたのは、街の外れの材木置き場であった。ゴディウィンは材木の塊の一番上に跨がり、天を仰いでいた。
「ゴディウィン!」
アリアーネが呼び掛けると、ゴディウィンはさっと振り返った。それから、下に飛び下りた。言葉など必要ない。二人は固く抱き合った。
「いつから、私のことが分かるようになってたの?」
もう引き離されてなるものかも言わんばかりに、アリアーネはゴディウィンの体に腕を巻き付けたまま尋ねた。
「あの時かな、毒蛇がいた日だ」
「じゃあ、それからは分からないふりを続けてたのね」
「カルガースやアッサガの疑惑を逸らすにはそうするしかなかった。それに、ハーミアの呪いがまだ解けてなかったし」
「ハーミアの呪いですって?」
驚いて、アリアーネは顔を上げた。
「それって、どういうこと?」
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