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「さて、君たちは私に何か話でもあるのかな?」
アリアーネは夕べゴディウィンと話し合って決めたことをカルガースに伝えた。予想通り、カルガースは慎んでアリアーネの提案を受け入れた。そして、なるべく早くハーミアの為の神殿を丘の上に建てると約束してくれた。
「もう一つ。私からのあなたへの提案があるの」
それは、カンタロスの娘ライアをカルガースの妃に迎えてはどうかということだった。カンタロスがライアをカルガースの元へ送り込んだ時点で、彼が娘を差し出す覚悟を決めていたのは明白であった。今後、ここに根を張っていくつもりならば、やはり土地の者と血縁関係になっておくことにこしたことはない。
「君の話は分かった。考えておこう」
昨日まで自分の婚約者であった人に、カルガースは丁重に礼を述べた。
「これからも何事であれ、遠慮なく私に助言をしてもらえるかな、アリアーネ」
「えぇ、もちろん。カルガース、あなたは私にとっていつだって大切な家族に違いないもの」
当然、リラにも話は伝えた。こちらも予想通り、どこへだろうとアリアーネについて行くと言ってきかなかった。
「あなたがいいと言うなら、私は歓迎するわ。ただね、巫女の修行をするにはちょっとばかり────」
「分かってます。今から巫女になるには遅すぎるとおっしゃりたいんでしょう。ですが、神殿であれどこであれ、姫様のお世話する者は必要です。他の者なんかに任せておけません」
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