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可愛いしー君のためにチョコ入り巨大マシュマロを張り切って焼いていると、少し離れたところで話していたお母さんと青瀬君の会話が、ふと耳に入ってきた。
「あらあ、お姉さまがいらっしゃるのね。何歳違いなの?」
「6歳違いです」
「そうなの? それじゃあ、日和ちゃんと武志君と同じ歳の差ねえ」
「でも、おふたりとは全然違いますね。姉には凄くコキ使われていたので。武志さんみたいな兄が欲しかったです」
苦笑いを零した青瀬君に、お母さんが「ふふふ」と可笑しそうに笑う。
「日和ちゃんと結婚すれば、本当のお兄ちゃんになるわよー? うちの男の人はみんな暑苦しいから、青瀬君みたいな子がお婿さんに来てくれると、お母さん嬉しいわー」
「えっ、ちょ、お母さーん!?」
聞こえてきたとんでもない会話に驚き、慌てて止めに入る。するとお母さんは、きょとんとしたように「なあに?」と首を傾げた。
「そ、そういうお話はちょっとご遠慮いただけますと……!」
「え? どうして? お母さん、二人の子どもすっごく楽しみにしてるのよー。女の子かしらねえ、男の子かしらねえ? 女の子ならね、日和ちゃんが昔着てたドレスワンピースをお直しして着せてあげたいなって思ってるの。ほら、あのフリルが可愛いドレス。もーっとフリル付けちゃおうかなぁ」
炸裂しまくっているお母さんの妄想に「やめてってば!」と悲鳴を上げる。お母さんは昔から自分の世界に入ってしまうと止まらないのだ。
まだ付き合って一ヵ月も経ってないし、結婚の〝け〟の字すらお話に出たことないのに、いきなり子どもだなんて幾らなんでもヘビーすぎる!
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