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「またなー! 気を付けて帰るんだぞー!」
大声を上げながらぶんぶん手を振っているお兄ちゃんに見送られながら、改札を通る。
バーベキューを終えた私と青瀬君は、駅でお兄ちゃん家族とお別れをした。
「い、いろいろとごめん、ね……?」
なんだか今日は青瀬君に色々な無理をさせてしまった。
非常に申し訳ない気持ちで謝ると、青瀬君が「あー、いえ」と、少し疲れた表情で笑う。
「あんたとお兄さんの間で、どんな遺伝子の突然変異があったのかと思ってたんですけど、なんか理由がよく分かりました」
「そ、そう、なの?」
「まあ色々カルチャーショックはありましたけど、あんたの家族にも会えましたし、お誘いして貰えて良かったです。ああいう家庭だからこそ、あんたみたいな人間に育つんでしょうね」
ぽんぽん、と軽く頭を撫でられる。良く分からないままその掌を受け止めていると、青瀬君が「そういえば」と言った。
「結婚式の服がどうとか言ってましたよね。まだちょっと時間早いですし、ついでにどっかで見に行きます?」
「わあ、良いの? ありがとう! 行く行く!」
実はもうお別れするのが少し寂しかったので、青瀬君の嬉しいご提案に、すっかり舞い上がってしまった。
私たちは途中で駅を降りて、直結しているショッピングモールに向かった。
「式ってホテル?」
道中、青瀬君がそう尋ねてきた。
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