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「えっとね、レストランでパーティー形式って言ってたよ」
「あー、結構ラフな感じですね。ちなみに次の結婚式の予定とかありますか?」
「当分ないです……」
「じゃあ普段着でも使えるやつにしますか。綺麗めのセットアップとかどうです? それぞれでアイテムとしても使えるし」
「ちょ、ちょっとハードルが高いのでお任せしてもよろしいでしょうか……」
「いや、どこにハードル高い要素があったよ」
呆れたようにそう言った青瀬君に連れられて、普段は一人じゃ尻込みしてしまうようなお洒落なお店を回った。
青瀬君は店員さんとよく分からないお話をしながらお洋服を吟味していて、私は隣でぽけーっと突っ立っていた。
時折、青瀬君にフィッテングルームに押し込められ、言われるがまま渡されたお洋服を試着して、見せて、また試着して、見せて、今度は次のお店へ、を繰り返した。
そんなこんなで数時間後、無事にお洋服を買えた私たちは、近くのカフェで疲れ切った足を休める事にした。
「ふわあー……本当にありがとう、青瀬君……」
カフェラテをお供にチョコレートケーキを頬張る。うぅ。疲れた体に甘いものがしみる。
結局、青瀬君と一緒に相談しながら決めたお洋服は、普段の自分だったら絶対に選ばないようなパンツスタイルのセットアップだった。
なんだか私には皆無なはずのイイオンナ(?)感がちょっぴり出ているような気がしたのと、何より青瀬君が一緒に選んでくれたという時点で、クローゼットの中で一番大好きなお洋服になること間違いなしだ。
「ちゃんとそれなりに似合ってて良かったですね」
青瀬君がコーヒーを飲みながら、誉め言葉なのか嫌味なのか良く分からない事を言ってくる。
でも今の私はとっても上機嫌なので、ポジティブに褒め言葉として受け取る事にした。
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