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でもやっぱり、何も思わないなんて難しい。
大変なご家庭の環境だったにも関わらず、こんなに優しく育ってくれた青瀬君をぎゅーっとしたかったし、そんな青瀬君を育てて下さったお母様にも、たくさんありがとうございます、って言いたい気持ちになった。
あ、でも、結婚しないのならお母様に会える機会は一生無いかも……。
「……まー、でも」
落ち込んでいると、青瀬君が気を取り直したように言った。
「将来的にあんたと結婚できれば良いなとは思ってます」
「へ……」
「お互いに何事もなければ、ですけどね」
その言葉に、あっという間に嬉しさが溢れ返る。思わず席から立ちあがって、テーブルの向こうの青瀬君に詰め寄った。
「わ、私は何事もないと思います!」
「はいはい。だと良いですね。あと、恥ずかしいから立たないで下さいね」
頭を押さえつけられ、慌てて席に座る。
色々な感情をぶつけられてびっくりしている心臓を落ち着かせるべく、ひとまずカフェラテを一気に飲み干すと、青瀬君が再び口を開いた。
「あと、一つだけ言っておきたいんですけど」
「はいっ」
「浮気は、するのもされるのも勘弁です」
「も、もちろん私もです……」
「うん、だよな。ただ人の気持ちに〝絶対〟は無いし、もしあんたが少しでも僕のこと思ってくれてるなら、他に好きな人が出来たらちゃんと言ってください。僕も言うんで」
「そ……それは、びっくりして心臓止まっちゃうかも……」
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