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角度を変えながらゆっくりと唇を食まれて、あんなに強張っていた頭の中が、ゆるゆると溶けていく。
「ふ、ぁ……」
「あんたな、緊張しすぎ。手、出しづれーよ」
キスの合間、青瀬君が小さく笑った。濡れた唇に熱い吐息がぶつかって、まだキスしかしていないのに頭がくらくらする。
「だ、だって……青瀬君がなんか色々と手慣れてるんだもん……歌舞伎町のホストさんみたい……」
「会ったことねーだろ」と笑った青瀬君が、突然私の両脇をひょいと抱えあげた。乗って、と言われたので、おずおずと青瀬君を跨ぐようにして向かい合う。
初めてするような体勢に、なんだか恥ずかしくなってしまった。重くないのかな?
心配になって何となくお尻を浮かせていると、柔く後頭部を引き寄せられた。再び重なった唇に翻弄されて、身体中から力が抜けていく。
結局、青瀬君に体重をかけないようにしようとした私の乙女心はまったく無駄に終わり、次に唇が自由になった時すっかり酸欠状態になってしまった私は、青瀬君にくったりと身体を預けていた。
「……ねえねえ、青瀬君……?」
呼吸を整えている私をよしよししながら、青瀬君が「はい?」と言う。
「青瀬君って、今まで何人くらいの人とお付き合いした事あるの?」
お家に遊びにくるだけで緊張して前日もうまく寝付けなかった私と違って、青瀬君の余裕たっぷりな態度は、正直すごく羨ましい。
どれだけの人とお付き合いすればこんな風になれるのか、純粋に興味があった。
「……それ、わざわざ今、訊きたいものなんです?」
「えっ、あ、嫌ならもちろん大丈夫です! ご、ごめんね?」
「いえ、僕は別に良いんですけど。人数は普通ですよ。5人以上10人未満」
あれ? 5と10って結構違うよね……?
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