モニター越しのあなたとわたし

街の中で

「どうせ空気読めないですよーこれでも会社の飲み会では一杯目はビールって言ってるんだから」

「それで乾杯だけして同僚にあげちゃうんでしょ？」

笑いながら真希が言う。

「そうそう。やっぱりそういうポーズだけは取らないとね、空気読めない子って言われちゃうから」

「何でか一杯目はビールって定着しちゃってるもんな。良いなと思ってる子と飲みに行ってとりあえず生で、って言ってわたしもって言われたら何か親近感湧くし。まぁカクテルでも可愛いんだけど」

メガネ男子は知的に見えるし一定数の需要があるから、と学生時代から頑なにコンタクトにしない周司は実際頭が良くてクラス委員長もしていた。

誠実そうに見えてちょいちょい他校の女の子に手を出していたけど、ちゃんと揉め事にはならないようにしているのがずる賢くてわたしたちはよくやるもんだと思っていた。

「それ調べたことあるんだけど、人って同じ行動を取る事で一気に仲間意識を持つ傾向があるからなんだって」

ネットで飲み会のマナーが書かれた記事を読んだことがある。

だから一杯目にビールを頼むと女子は好感度が持たれやすいと。