4 想像力、欲求と文明

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4 想像力、欲求と文明

b1777d6c-d9be-49f6-9a2b-fc68731d20f4 以上の関係を時系列の順に並べてみると、 ①想像力が、技術を生む ②自然科学的技術が、社会活動を豊かにする ③社会活動の複雑化が、欲求を多様化させる ④欲求の多様化が、利害調整政策を必要とさせる ⑤社会工学的技術が、政策の実現を助ける ⑥技術的政策が、さらなる技術の導入を助ける となります。 それらを内容的にまとめると、 想像力(知性)→技術→社会活動・政策→文明発展 欲求(人間性)→政策→社会活動・技術→文明持続 となります。 人間が持つ二つの性質のうち、 限りない想像力による知性が技術、 限りない欲求という人間性が政策を生みます。 さらにその技術と政策が他の二活動を助け、 ロータリーエンジンのように循環(サイクル)を回して、 文明を発展させ続ける、というわけです。 ところで、この考えをもう少し広げると、 人間の限りない想像力と欲求は、 重なる部分も多く、必然的に相伴(あいともな)う、 同じコインの表裏のようなもので、 広い意味では同義とさえいえるではないか? とも思います。 高度な推論・事実認識と可変的な欲求・意思決定は、 どちらかだけでは役立ちません。 人工頭脳学(サイバネティクス)でいえば、 それらは入力・出力として必ず(つい)で扱われ、 人工知能もまた、 環境認識と活動制御の領域からなります。 実際の成り立ちをみても、 想像力が技術の進歩をもたらし、 社会と政策の複雑化を通じて欲求を多様化させる、 その欲求が政策の発展を導いて、 社会と技術の発展により想像の領域を広げるという、 不可分的な相互作用の関係があると思います。 知性は無制限的な想像力(特に合理的な推論)、 人間性は無制限的な欲求(特に善なる部分)に 重心を置いた言葉でありましょう。 しかし、言葉には多義的なところもあります。 両者の一体的な相互関係を知っておくことも、 人間、社会や文明を考える際に役立つと思います。 人類が知性を活かし、人間性を御して、 技術と社会と政策の好循環を作り出すことにより、 地球上における文明の持続的発展を実現し、 将来的には地球外にも文明活動を拡大して、 さらなる繁栄を得られるよう、期待します。
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