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「暖かい……」
「そうだろう。冷えたらまた温めてきてやる」
両脚にじんわりとした熱が広がっていく。こうやってつないでいければ、この先の時間はずいぶん違うかもしれない。
「どうだ、電気が復旧するまで俺をここに住まわせないか? 二人でいた方が部屋の温度も上がるだろうし」
たしかに、足立が来てから心なしか寒さが和らいだ気がしていた。足立の体からは、ふんだんに熱が放出されているようだ。
「俺が世話をすればあんたはそこで暖まっていられるし、一人で不安になることもないだろ」
「でも、迷惑を掛けるわけには……」
「いや、正直な話、俺も一人じゃ気が滅入ってな。誰かの世話でもしていた方が気も紛れる」
足立は豪快に笑った。
まぶしいくらいの生命力に望未の胸は痛んだ。
望未が死んでしまうかもしれないことなんて、きっと足立には想像すらできないだろう。
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