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 足立は自分の部屋から食料など必要なものを持ち込み、望未の部屋に滞在し始めた。  心が広く明るい男だった。離婚して今は一人らしいが、別れた理由は奥さんの不倫が原因だった。 「俺とは正反対の細っこいイケメンでな、そりゃ仕方ねぇわって思ったよ」 「ふふ」 「お、笑ったな? ま、人と人なんて縁が全てだからな」  私達の間にも縁というものがあるのだろうか、と望未は思った。  苦に思う素振りもなく助けてくれる足立は、頼もしい存在だった。  食べ物や水をベッドに運ぶのも、スマホでの情報収集も全部足立がやってくれた。望未はただベッドの中にいて、食事だけしっかりとって、楽しく会話していれば良かった。  夜も望未の部屋のソファで寝てくれたので、不安になることなく熟睡できた。  依然厳しい状況にあることは変わらないのに、心持ちと体調は全く違っていて、足立がいれば何も恐れることなどないように思えていた。  
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