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 突如、ピンポーンと軽快な音が響き渡り、望未はビクッと体を震わせた。  つられるように心臓はまた動悸を始める。  ゆっくりと起き上がってモニターを見にいくと、どうやら押されているのはマンションの出入り口ではなく、玄関ドアのインターホンらしい。  姿の見えない訪問者に怪訝そうに眉を寄せ、応答すべきかどうか望未はしばらく迷っていた。すると、二度目の呼び出しがあった。  災害に関する重要なお知らせかもしれないからと、念のため応答ボタンを押し、はい、と小さな声で返事をした。 「えーと、三〇五の足立と言いますが」  聞こえてきたのは、太さのある男性の声だった。 「はい、何でしょうか……」 「ちょっと様子が気になったんですが、大丈夫ですか?」 「え?」 「避難したほうがよければ、車で避難所に連れていこうか?」  望未は驚いて息を吸った。  そして、少しためらってから玄関に行き、チェーンをつけたままドアをそっと開いた。  隙間から見えた男性は、背が高くて頑丈そうな体格をしていた。年は四十代くらいだろうか。顎に生えている髭に胡散臭さはあるものの、心配そうに下げた眉と、大きめの優しい目が印象的だった。 「えっと……なんで……」  男性がここへ来た経緯がわからない望未は、対応を迷いながら足立を見上げる。
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