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せっかく良いところだったのに。もうすこしで、セビィの尻のひとつでも触れたはずだ。
こっちは、売値を譲歩した。それなりの見返りがあってもいいだろうに。
と、はったりをかましたいが、分が悪い。セバスはともかく、三人も、漢がいては、先がみえている。
(ちっ、ついてねぇなあ)
モンテニューノは、独りごちながら、そうでしょとも、そうでしょう、などど、馬番達の機嫌までとる始末。
しかし、次がある。まあ、王族は流石に無理として、他の貴族へ取り入る事はできるだろうから──。
「さあさあ、皆、お馬ちゃんのお世話を頼むよ」
セバスの一声に、へーい!と、馬番三人組は、調子良く答えると、馬の手綱をとって小屋の奥へと消えていった。
「さて、モンテニューノの親方」
やおら、セバスが、モンテニューノの上着を掴む。
妹に手を出そうとした仕返しか?拳の一つでも喰らうかと、モンテニューノは、思わず後ずさる。
「落とすと大変ですからね。内ポケットに、馬代の小切手入れておきますよ」
セバスが、何か紙切れを突っ込んだ。
「え?小切手……」
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